冬の薬膳コラム
冬は一年のうちもっとも「寒邪(かんじゃ)」の影響を受けやすい季節です。
気温の低下に伴い、血行・代謝が停滞し、体の巡りが弱まりやすくなります。薬膳では、この時期の食生活を温める・巡らせる・補うの3つを軸に整えることが重要とされています。
本コラムでは、冬場の体調管理に適した食材特性と、日常の食卓への落とし込み方を解説します。
■冬薬膳の基本概念
1. “腎”を補い、冷えを抑える
冬は腎が弱まりやすく、水分代謝や冷えのコントロールが不安定になります。
体温維持のため、温性の食材・黒い食材(黒豆・きくらげ など)が推奨されます。
2. 温性食材で巡りを改善
寒さで滞りが出やすいため、巡りを促す食材(しょうが・ねぎ・にんにく)を組み合わせて、体の内側から温めます。
3. 消化に負担をかけない調理
煮る、蒸すなど“温かく・柔らかく”仕上げる調理で、胃腸を保護しながら栄養吸収を促します。
■冬に向く主要野菜(薬膳視点)
以下は冬薬膳に適した、または調整次第で活用できる野菜を整理したものです。
1. なばな(温性)
・体を温め、気血の巡りをサポート
・冬の冷え・巡りの停滞に適合
・軽い苦味は“春に向けたデトックス準備”としても有効
→ 冬薬膳に相性の良い食材
2. ピーマン(温性〜平性)
・胃腸機能の調整
・巡りを整えるはたらき
・彩り、ビタミン補給ともに冬食卓で有効
→ 冬でも使いやすい万能素材
3. なす(寒性)
・熱を冷ます食材
・冬のみ寒性が強いため、使い方に注意
・しょうが・味噌・鶏肉など“温性”と組み合わせると負荷を軽減
→ 量と調理法の調整で冬メニューにも応用可能
4. きゅうり(寒性)
・余分な熱を下げ、利尿を促す
・冬場は冷えを助長しやすく、薬膳では推奨度が低め
・使用する場合は「温性調味料」を必ず併用
→ 冬薬膳では控えめ。必要に応じて補助的に使用
■冬薬膳に適した組み合わせ例

冬の食卓に取り入れやすい、実用的な組み合わせを紹介します。
●なばな × しょうが × ごま
巡りアップ+温め効果を強化。副菜として最適。
●ピーマン × 鶏むね肉 × ねぎ
気の巡りを整えつつ、たんぱく質補給も実現。
●なす(蒸し) × 味噌 × 大葉
寒性素材を温性調味料で補い、冬向けに調整。
●きゅうり × 味噌 × しょうが(少量使用)
どうしても使う場合の“冬対応型”の組み立て。
■冬のおすすめ薬膳レシピ
1. 白菜としょうがの葛あんスープ
効能:温中散寒・健胃(冷え・胃腸機能の低下対策)
材料(2人分)
白菜150g、しょうがすりおろし小さじ1、だし300ml、葛粉小さじ2
作り方(短縮版)
白菜を軽く煮る。
しょうがを加える。
葛粉を水で溶き、加えてとろみをつける。
2. なばなとしらすの温サラダ
効能:補肝腎・補血(冬の疲労・乾燥対策)
材料(2人分)
なばな1束、しらす大さじ2、ごま油小さじ1、ポン酢少量
作り方
なばなをさっと茹でる。
しらすと和え、ごま油とポン酢で調える。
3. ピーマンねぎ味噌焼き
効能:発汗・温陽(冷え・むくみに)
材料
ピーマン4個、長ねぎ1本、味噌大さじ1、みりん小さじ1
作り方
ピーマンを半分に切る。
長ねぎに切れ目を入れ、ピーマンと焼く。
味噌+みりんをのせてさらに焼く。
4. 里芋のしょうがバター
効能:脾胃を温め、代謝サポート
材料
里芋200g、しょうが千切り少々、バター5g、醤油少量
作り方
里芋を柔らかく茹でる。
しょうが・バター・醤油で和える。
■まとめ
冬は冷え・乾燥・巡りの停滞が起こりやすい季節です。
薬膳では、温める食材・巡らせる調味料・消化にやさしい加熱調理を軸に組み立てることで、日々のコンディションを整えることができます。
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